最高裁判所第一小法廷 昭和48(オ)1106 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人阿部一雄の上告理由第一について。
民法六〇八条はいわゆる任意規定であつて、賃貸人と貸借人との間で、貸借人が
貸借建物に関して支出する必要費、有益費の償還請求権を予め放棄する旨の特約が
されたとしても、右特約が借家法六条により無効であると解することはできない。し
たがつて、原審の判断には所論のような違法はなく、論旨は採用することができな
い。
同第二について。
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決(その引用する第一審判決を含む。
以下同じ。)挙示の証拠とその説示に照らして、首肯することができ、その過程に
所論のような違法は認められない。論旨は採用することができない。
同第三について。
所論の点に関する原審の認定事実は、原判決の挙示する証拠に照らして、首肯す
ることができ、右事実関係のもとにおいては、賃料の支払をすべて停止するがごと
き上告人の行為をもつて、信義則に反するとして同時履行の抗弁を斥けた原審の判
断は相当であり、その過程に所論の違法は認められない。論旨は、ひつきよう、原
審の認定にそわない事実を前提として、原審の判断の違法をいうにすぎず、採用す
ることができない。
同第四について。
所論の点に関する原審の認定判断は、首肯しえないものではなく、その過程に所
論のような違法は認められない。論旨は、ひつきよう、原審が適法にした証拠の取
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捨判断及び事実の認定を非難するにすぎず、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 岸 盛 一
裁判官 大 隅 健 一 郎
裁判官 藤 林 益 三
裁判官 下 田 武 三
裁判官 岸 上 康 夫
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